公共社会学科
お知らせ公共社会学科:NPO論「実務者との対話」2-授業を実施しました!
2024年7月9日火曜日に福岡市にある"NPO法人とねりこ"の今村晃章氏にNPO論の特別講師としてご登壇いただき、中間支援の活動についてご紹介いただきました。
今村氏によれば、中間支援とは、「社会課題の解決に向けて必要となる社会資源をつないでいく役割」のことで、単にマッチングすることではなく、「適切なかたちでつなげて、新たな価値を生み出せるように、相互の関係性を整理したり、改善したりする調整を行う役割」を指します。
社会課題が複雑化する今日だからこそ、個々人が自身の立場に伴う組織の論理や往年の価値観に固執することなく、一つの目標のためにつながり、時に相手を説得したり、妥協したりすることを通して、解決策を模索することが求められているといいます。また、市民活動を多くの人に受け入れてもらう際に大切なのは、失敗や変化を恐れる人に対して「社会を変える」重要性を強調するのではなく、「変わる社会に、心を補う」という姿勢でアプローチすることを心がけている、ともおっしゃっていました。
受講生の多くが本日の講義を通して、社会資源がどこにあるのか、それを必要としている人がどこにいるのかを客観的に見渡すことができる「鳥の目」をもつこと、各アクターの論理に寄り添って物事を捉え、時に、リスクを恐れず行動することの重要性を感じ取ったようでした。市民同士、あるいは、行政、市民、企業、学術組織、地縁組織がつながりたくても「つながれない」時代だからこそ、受講生には将来「調整役」として活躍することを期待したいと思います。
【受講生の声(一部抜粋)】
- ※中間支援という役割を担っている団体があるということを本日の講義で初めて知った。最初は、どのような役割なのだろうか、どのよう
- なニーズがあるのだろうかと思っていたが、組織と組織をコーディネートしてつなぎあわせることでお互いに共通している問題の解決策
- を見出すことができたり、そこから新たに価値をうみだすことができたりする有意義な役割であることがわかった。
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- ※現在、社会課題の解決にあたり、社会問題の多様化・複雑化に対応するため、資源や組織の違いを超えたつながりが重要になり、「調整
- 役」が必要とされていることがわかった。他方、現代人は責任や負担を回避する傾向にあり、こうした感覚が失敗や変化を恐れさせ、社
- 会課題の解決に際しての障壁になっていることを学んだ。個人としては、あえてリスクのある事柄に挑戦し、心を変化に慣らしていくの
- が最適な方法であると感じた。
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- ※つなぎ難いものをつなげるための調整、特に、責任や負担を回避する人や変化や失敗を恐れる人の増加により社会課題が解決しないとい
- う現代社会の悪循環について、自身も失敗を恐れ無難になったり、あわないものをすぐに切ったりと根本的な課題解決に至れない志向・
- 行動になっていることに気づいた。余裕がないと自己都合を相手に押しつけてしまうので、「変わる社会に心を補う」ことを心掛けたい。
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- ※講義を聞くまでは、仲介しなくても必要であれば当事者がつながるだろうと軽く考えていたが、それぞれの組織の風土や立場で状況やや
- る気の度合い、抱える困難さによってつながり難い場合があること、第三者が間に入って互いに調整していく必要がある場合も多いこと
- がわかった。限られた資源で様々な社会課題を解決していくために「つながり難さ」を生み出している背景を改善していくための仕組み
- づくりが必要であると改めて考えさせられた。
- 担当教員:佐野麻由子