令和3年11月26日(金)、第55回通関士試験の合格者が発表され、人間社会学部公共社会学科2年生松岡実佳子さんが合格しました。
通関士試験の難易度は高く、過去の平均合格率は15.4%、難易度の高い資格試験の一つとして知られています。
通関士とは、国家試験である通関士試験に合格した者のうち、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認を受け、通関業務に従事する者をいいます。
詳しくは財務省HP → https://www.mof.go.jp/faq/customs_tariff/03aa.htm
合格した松岡さんに、通関士試験を目指した経緯や通関士試験の受験体験、今後の抱負等について話して頂きました。
Q.本学への志望動機は?
もともと世界とつながる仕事をしたいと考えていて、アジアの玄関口である福岡で、国際的な視野を身に着けたくて本学を志望しました。また、公立大学という小規模な大学特有の先生と学生の距離の近さも魅力でした。田川市は都市部から離れた地域ですが、そうした静かな環境下でじっくりと学ぶことができています。
Q.通関士試験を受験した経緯と受験体験について教えて下さい。
通関士を受験した理由は、通関のスペシャリストとして、国際物流を陰で支えたいと思ったからです。商品が国内に安全に入り、正しく関税を徴収するには、申告書は正確でなければなりません。通関士は、そうした正確さ、迅速さが求められる現場で、通関のスペシャリストとして書類を作成します。私も初め、貿易業界に対して商社マンなどの華やかなイメージを持っていました。しかし、実際にはただ物を運ぶというだけでも、地道でミスが許されない現場があると知りました。そうした目に見えない「縁の下の力持ち」のような存在にあこがれを抱きました。
受験を決めたのは大学1年生ですが、一年目は散々でした。関税法などの法律の言葉は何度も読み返すことで覚えられましたが、実務が大変で大変で...。そもそも通関士を目指すのは社会人の方がほとんどで、実際に通関業務に携わっている方ばかりです。学生で、現場も知らない私は、業界の常識ワードですら理解できませんでした。まがりなりにも8か月ほど勉強した一年目の受験では、通関実務で45点中7点でした。
2年目は、一年間年末年始を含め毎日勉強すると心に決め、再出発しました。周りにも、「来年は受かる」と宣言して自分を追い込みました。生活の中に通関士試験がありましたが、大学の成績ももちろん落としたくなかったですし、サークル活動やアルバイトも頑張りました。
受験会場には大人の男性が多く、何をしに来たのかと、物珍しいものを見たような反応をされました。当日もやはりわからない問題がでましたが、それでも1年やり続けたという自信、お世話になった先生にいい報告を!という思い、大口を叩いたのだからというプレッシャーのおかげで、最後まであきらめずに受験できました。鬼門だった通関実務は、38点で、8割得点。それでも40点の壁が厚かったことに、通関士という資格の難しさを実感しています。
Q.大学からサポートは何かありましたか?
本学の河本恵美先生に通関士試験の存在をお話ししたとき、はじめてこの資格を知っている人に出会えて感動しました。河本先生には、英語での指導だけでなく、春休みには門司税関を訪問する機会をいただき、実際に税関の方に法律を教えていただくなど、貴重な経験をさせていただきました。
合格発表は大学構内で見たのですが、思わず声が出てしまいました。河本先生にはすぐに合格のメールを送りました。先生が自分のことのように喜んでくださったときは、頑張ってきて良かったと思いました。そして、感謝の気持ちでいっぱいです。今は素人からでもやればできるという自信もつき、すがすがしい気持ちでいます。
Q.今後の抱負は?
通関業界は法改正も多く、合格が学習のゴールではありません。引き続き国際物流のプロフェッショナルになれるよう、コツコツと努力していこうと思います。また、語学力を高めるために、英語や中国語も勉強中です。常に挑戦し続けることを忘れず、大学生として主体的に学び続けていきたいと考えています。